キッズ用HAL®︎腰タイプ(2Sサイズ)を使用した 脳性麻痺 のお子様の短期集中プログラム成果
岡山ロボケアセンターは、西日本で初めて2SサイズのHAL®腰タイプとHAL®下肢タイプを導入している施設になります。「子供たちの可能性を広げたい」という社長の強い思いのもと、 脳性麻痺 のお子様7名に対して、2週間で5回のHAL®腰タイプ 2Sを使用した短期集中プログラムを実施しました。
性別 | 年齢 |
男性 | 4 |
男性 | 14 |
女性 | 14 |
男性 | 11 |
男性 | 9 |
女性 | 9 |
男性 | 9 |
対象者は、HAL®腰タイプ 2Sサイズが適応する人
目次
【適用サイズ】
・体重 20-40kg(目安)
・身長100-140cm(目安)
・腹囲100cm以下
・大腿中間囲70cm以下
・骨盤幅30cm以下
1回の実施時間は30分程度とし、2週間の間に5回プログラム提供することを設定しました。
評価方法は、FIM、TUG、周径(膝上10㎝・腹囲)、ファンクショナルリーチ、座位保持姿勢、立位保持姿勢と保護者のアンケートによる主観的調査を行いました。
実施内容は、HAL®腰タイプ 2Sを使用した、座り動作や、立ち座り動作を中心とした身体活動の基本となる体幹トレーニングを実施しました。
【5回終了時のアンケート結果】
※7名中アンケート回収6名
①HALを利用される前・後でご自宅、学校等で変わられた様子があればお聞かせください。
(例:体力面・日常生活動作(ADL)面・精神面・身体面etc.)
・足を動かすのが軽やかになった
・リハビリに消極的だったが楽しく体を動かすことに取り組むようになった
・立位保持が少しできるようになり、トイレや移乗など介護が楽になってきた
・すぐ諦めていたのに少し頑張って挑戦することが出来るようになった
・身長が伸び体幹がしっかりした。肋骨弓が開いていたが締まってきた(120度が90度)
・少しの支えで一人で立てるようになった。ハイハイが復活した
・視野が高くなり知的に伸び会話力が飛躍的に向上した
・立ち上がりがスムーズになった
・歩行スピード、距離が上がった
・立ち上がりのトレーニングで姿勢と体幹がしっかりした
②ご利用され始め、何回目くらいから変化を感じられましたか?
1回目 | 1人 |
3回目 | 2人 |
5回目 | 3人 |
③2週間で5回の短期集中プログラム実施後もプログラムを続けている理由
・身体発達と精神面の両方で飛躍的向上が見られたから
・本人が続けたいという意志が強かった
・楽しく取り組めて効果を期待できたから
・脳から信号を送り学習することで引き続きトレーニングすることが大事だと思ったから
・病院と連携がありデータが頂けたから
【結果】
HAL®腰タイプ 2Sサイズを活用し、体幹部を中心としたプログラムを短期間で5回実施して、初日と最終日に7名の対象者に対して測定・評価を実施しました。
測定結果としては、身体面では座位ファンクショナルリーチにおいて個人差はあるものの7名全員平均9㎝上昇し、動的バランスが改善しました。
姿勢変化に関しては、体幹正中位(身体がまっすぐな状態)に保持できない子が以前よりも体幹が鍛えられたことで体幹正中位を保持でき安定する変化が7名全員にみられました。
また、手で支えなくても座位できる秒数が増えているお子様も多かったです。
アンケート回収した6名全員がHAL®腰タイプ 2Sサイズでのプログラムを5回実施する中で姿勢の変化や歩行など身体面の変化だけではなく、精神面の変化を感じることができました。
【ご利用者のお母様からいただいた手紙】
「HAL®を使ったトレーニングを終えて」
私には,先天性の 脳性麻痺 のある9歳の息子がいます。脳の一部,肢体を動かすのに必要な部分に穴があいているため,生まれた直後,医師から,歩くことも話すこともできない子であることを告げられました。それでも諦められなかった私は,小さな息子を連れ,よい噂のある病院へ行って可能な限り訓練を受けさせ,母子入院で最長3ヵ月訓練をしたこともあります。訓練の成果もあり,9歳の息子は,体幹は不安定であるもののなんとか車椅子に乗り,
3歳程度の言葉をしゃべることができるようになりました。
9歳と言えば,過去の訓練で何度も聞いてきた著しい成長のタイムリミットの時。仕事を始めた私には,息子と再び母子入院をする余裕はなく,月に2回の病院での訓練と週1回の訪問リハで今より体の状態が悪くならない状態をキープしてやるのが精一杯。脳性麻痺 のある息子にとって,訓練をしない=動けなくなることを意味します。
そんなときに,偶然と幸運が重なったのか,知人から短期間で,HALを使ったトレーニングを受けてみないかと連絡がきたのです。
息子には 脳性麻痺 の他にもてんかんや低血糖などの疾患,そして情緒障害もあるため,HALを使ったトレーニングを嫌がらずに受けられるだろうか…電気刺激がてんかんに影響はしないだろうか…と若干の不安はあったのですが,現在通院する病院とすぐにつながってくださったこともあり,信頼して岡ロボさんでのトレーニングを受けることを決めました。
HALを使う前の息子は,前述の通り体幹が不安定で,座位保持装置という体のほとんどを固定している椅子に座っていても姿勢が常に右に傾いており,筋緊張が入れは全身が鋼のようになり,入らなければタコのようにぐにゃぐにゃとした体でした。短下肢装具という膝より下を固定する装具を履き,補助があればなんとか立位の姿勢は取れるものの,やはり不安定で,すぐにバランスを崩して倒れ込む状態。身体が大きく重くなる前までは,普通の子のようにハイハイをする姿も見られていたのですが,小学校入学直後から体が大きく重くなり思うように動かせないからなのか,腕の力だけを使ったズリバイをしていました。果たしてトレーニング受けて効果はでるのか…。家族の会話では,効果がでたら儲けもん。がトレーニングが始まる前の合言葉だったことは今だから言えることです。
トレーニングでは,親切なスタッフさんが日々息子に合うトレーニング方法を試行錯誤し,体の細く小さな息子でもHALが機能するよう全力でサポートしてくださいました。肝心の息子の反応は,最初こそHALの重さや装着に違和感があったのだと思いますが,HALが体に馴染んでくると,重さを気にすることはなくなり,自分の動きを楽にしてくれることに気付いたのか,自ら体を様々な方向に動かしてHALの動きを試す様子が見られました。すぐに「もうしない。」「行かない。」という息子が初めてこのトレーニング中は拒否の言葉を口にせず,毎日「ロボット行く?」と尋ね,トレーニングを受けることを楽しみに過ごしていました。だんだんと内容がレベルアップしても,嫌だとは一言も言いませんでした。HALをつけたら出来ることがあると気付き,HALをもって帰ろうと提案してきたこともあります。トレーニングを終えて,私たち家族が出した答えは,可能であればこれからもHALを使ったトレーニングを継続してうけさせたい,息子が変わった。というものでした。
HALを使った後の息子は,まず体に変化が起きました。短期間での集中トレーニングであったことも大きな効果につながったのだとは思いますが,今までどんなに頑張って訓練をしてもつかなかったお腹周りの筋肉がついたのです。体幹を安定させるために必要な筋肉の出現には驚きました。また,HALを装着している間に立位の時間が伸び,左右の足に同じ様に重心がかかるトレーニングを続けてきたことで,棒のようだった足のふくらはぎも一回り太くなりました。座位をとるときに大きく右に傾いていたのも大分改善され,まるで普通の子どものように状態を起こして座れるようになった姿を見て,祖父母が大喜び。支援学校でも左右に持ち手のない椅子に座って勉強すると息子自ら言いだし,勉強をしましたと連絡帳に記入がある日が増えています。また,椅子から立つこと座ることができなかったのですが,HALのおかげでその感覚をつかみつつあります。あんなにしていたズリバイも,またハイハイができるようになったことでその姿をみることが減りました。
息子の変化を目の当たりにして今だから強く思うことは,もっと小さなうちからHALを使ったトレーニングができていれば,きっともっと体の使い方は上手になっていただろうということです。
HALによって体の動かし方を教えてもらったり修正してもらったりした今回のトレーニング。9年間のうちに,自分で何とか体を動かそうと間違った体の使い方を覚えてしまった息子でしたが,理解できない言葉ではなく,HALを使って体で何度も何度も繰り返しトレーニングして覚えたことはとてもわかりやすかったのだと思います。急性期のお子様であれば,この効果はきっと息子以上になるのではないかと考えます。
さらに,私は今まで経験してきた母子入院等で,訓練は小さければ小さいほど効果が出やすいのだということを嫌と言うほど聞いてきましたが,今回,9歳になってもその効果が出たことに,まだ息子にもやってあげられるトレーニングがあると希望をもちました。だからこそ,息子と同じような障害を持つ方々に是非HALを試してみる機会を作ってもらえたらと強く願います。
関わってくださったスタッフさんの明るく親切なところは本当に素晴らしいと思います。
【今後の展望】
今後も2SサイズのHAL®下肢タイプ、腰タイプを使用した歩行動作プログラムも取り入れながら行っていくことで、ひとりひとりに寄り添い、目標達成に向けたサポートができるようスタッフ一同努めてまいります。
HALを使用してみたい!気になっている!適応するかわからない!そんな方は一度岡山ロボケアセンターまでお問合せ下さい。
スタッフがお身体の状況をお聞きし、最適なプランを提供させていただきます。
……….
HALの原理を詳しく知りたい方はこちら
HALの腰タイプは自宅でもレンタルできます。