脊髄損傷者の歩行機能に対するHAL適用事例「好きな庭の手入れが楽にできるようになりました!」」
湘南ロボケアセンターで、脊髄損傷の方がHAL下肢タイプで歩行機能訓練を行なった事例を紹介します。
HAL下肢タイプによる歩行プログラムの様子(湘南ロボケアセンター)
湘南ロボケアセンターは2013年12月に装着型サイボーグHAL®(ハル)による先進的プログラム「Neuro HALFIT®(ニューロ・ハルフィット)」を提供する国内最大級のNeuro HALFIT®専門拠点として神奈川県藤沢市に開設されました。
湘南ロボケアセンターでは様々な疾患の方々が日々それぞれの目標に向かってトレーニングを行われております。天気の良い日は窓越しに広がる富士山を眺めながら気分を上げてトレーニング、力がついてきた方は清々しい湘南の風を感じるテラスでのトレーニングと皆さまそれぞれのやり方でトレーニングに取り組まれております。 湘南ロボケアセンターではこうしたご利用者さまの心と身体の状態に合わせて、お一人おひとりにあったプログラムを提供させていただくよう努めております。
目次
■ 脊髄損傷患者と湘南ロボケアセンターでの取組み
さまざまな疾患の中でも、脊髄損傷を受傷されたご利用者さまは多くいらっしゃいます。脊髄が損傷されると、その損傷した障害部位より下位へ脳からの指令が伝わらなくなり、また下位からの信号も脳へ伝わらなくなります。その為、様さまざまな障害(運動麻痺、感覚障害等)が生じます。受傷の部位、程度によって麻痺の症状は大きく異なりますが、「以前のように身体が思うように動かない、動かせない」というやりきれないお気持ちは皆さま同様に多く聞かれます。
この状態を少しでも変化させる方法の一つにNeuro HALFIT®プログラムがあります。プログラムの内容や頻度はご本人の状態や生活環境に合わせて実施させていただいております。お一人ずつ異なる症状の中で実施されているご利用者さまが感じている変化については個々には異なりますが、トレーニングを繰り返し実施してゆく中で、今まで動かすことが難しかった部位が、HALのサポートにより「何となく動く感じが分かった」「体重が乗っている感じが分かった」などの感想を伺ってきております。そして変化を感じられた方はトレーニングの継続により、「安定して座れるようになった」「移乗動作がしやすくなった」「立ち座り動作がしやすくなった」「安定して歩けるようになった」など、日常生活における身体の感覚や使い方にも変化が見られています。
■ 脊髄損傷リハビリにおける湘南ロボケアセンターの事例
今回は約3年前に事故により脊髄損傷(腰髄)を受傷されたA様について紹介させていただきます。A様は日常生活においては自立されており、これまで週一回の頻度でウォーキング(杖使用)を続けられ、回復の為に日々のトレーニング、コンディショニングと精一杯の努力をされてきました。今回更なる目標として、「杖無しで歩きたい」とのご希望により2022年1月から湘南ロボケアセンターにてNeuro HALFIT®プログラムを開始されました。
A様の状態としましては腰部の脊髄損傷による影響で、左下肢の麻痺(膝から下の感覚が鈍い、足首(つま先)を上げる動作が難しい)が有るため、杖を使用して歩行されています。現在の歩き方でも介助や見守りが必要のないレベルで歩行できておりますが、左足のつま先を上げること(足関節の背屈動作)が難しいので、歩行に際しては足首を固定する為にサポーターを装着する対処を施したうえで、右下肢で過剰に身体を支持しながら、代償動作として左股関節・膝関節の屈曲動作を強く意識して、つま先が引き摺られないように歩かれています。その為「右脚がものすごく疲れる」という症状も重ねて訴えられておりました。
プログラムを進める上での最初の目標としては、生活での活動機会を増やしていただけるよう[疲れにくい歩き方の獲得]として、HAL®下肢タイプを装着して下肢の支持性向上・動的立位バランスの向上を狙い歩行動作を繰り返し実施していただきました。
また、ご本人より「最近になって痛みの感覚が少し分かるようになってきた」と言うことをお聞きしたので、併せて末梢神経への連続的なパルス磁気刺激を与えるPathleader(磁気刺激装置)を使用し、足関節背屈動作の促通を繰り返し実施すると共に、「つま先が上がる感じが何となく分かる」との経過状況が得られたため、HAL®単関節(足関節)タイプを左足関節に装着し、つま先上げ動作(背屈動作)を介助しながら実施してゆきました。
HALを適用する事で自分では動かすことが出来なかったつま先を自分の意思で動かすことが出来、その動作を目で見て確認しながら繰り返して行うことが出来るため、更に意識をしながら動かすことが出来るようになってきました。【 HALによる意識的な動作によるフィードバック訓練を繰り返す事で、足関節の背屈筋である前脛骨筋の腓骨神経の再建・強化が図られ、つま先が上がる感じに繋がったと思われます 】
[疲れにくい歩き方、杖無しでの歩行動作獲得]に向けて
HAL®下肢タイプを装着しての歩行トレーニングと立位トレーニング
[つま先を上げる動作獲得]に向けて
磁気刺激装置とHAL®単関節(足関節アタッチメント)タイプを使用した併用トレーニング
■ Neuro HALFIT®を行われたご本人の感想
Neuro HALFIT®プログラム(90分コース)を週一回の頻度にて、約三ヶ月継続された
ご本人の感想です。
・ とにかく以前と比べて身体が楽になりました。
・ 足首を固定するサポーターが無くても生活出来るようになりました。
・ 歩いている時、動きが軽く感じるようになりました。
・ 右脚の疲れが軽減されました。
・ 少しずつだが、靴が履きやすくなりました。
・ お風呂の中でつま先上げが意識できるようになりました。
・ 庭の手入れの草刈りが以前より疲れが少なく出来るようになりました。
そして現在、ご本人の「杖無しで歩きたい」という目標達成のために、更なる左下肢の支持性向上・動的立位バランス能力の向上、そして左足関節背屈動作の随意性の向上を目指してプログラムに取り組んでいただいております。
■ まずはお気軽にお問い合わせください
湘南ロボケアセンターでは脊髄損傷(頸髄損傷、胸髄損傷、腰髄損傷)を受傷された方のほか、脊髄疾患(横断性脊髄炎、脊髄腫瘍、脊髄梗塞など)の治療・回復期後のリハビリとしてご利用されている方など、さまざまな脊髄障害の方々、そして幅広い年代(3才の幼児から90代の高齢者まで)の方々にご利用いただいております。
「HALが適用できるのではないか?」とお思いになった方やそのご家族、ご関係者の方、ぜひ一度、湘南ロボケアセンターまたは、お近くのロボケアセンターにお問い合わせください。
湘南ロボケアセンター
神奈川県藤沢市辻堂神台 2-2-1 アイクロス湘南4階
TEL : 0466-30-2360
(営業:月〜土・9:00〜18:00、休館日:日曜・祝日・年末年始)