「HAL®︎によって大好きな職場への復帰を果たしました」神戸ロボケアセンター
「100mの山に登れたよ!」
と嬉しそうにお話し頂いた時のYさまの笑顔を私達スタッフには大きな感動を頂きました。
勤務先で作業中、高さ3メートルから転落事故。ドクターヘリにて救急搬送。
一時期は意識を無くし、外傷性SAH、急性硬膜下血腫、脳挫傷、第4腰椎破裂骨折、第11~12胸椎椎体骨折、胸腰椎ボルト固定術、ジストニア、高次脳機能障害、てんかん発作など、数多くの疾患やそれらに伴う障害を持ちながら、ご自身の夢や目標に向けて奮闘していらっしゃる、Y様についてお伝えさせていただきたいと思います。
初回カウンセリング資料より
・2014年7月 仕事中の転落事故により入院
・2015年1月 退院。退院時は背もたれなしで座り続けることも困難な状態であった為、しばらく自宅療養となる
・2018年9月 限定的に復職する
・2020年8月 神戸ロボケアセンター初回利用
利用当初は、受傷後の後遺症として、全身の神経症状(ジストニア手術後の左半身の弛緩性麻痺、右下肢の運動麻痺)が確認されました。また、腰椎はボルト固定されています。高次脳機能障害による、疲れやすい状況が確認されました。
当センター利用当初の状態では、日常生活における屋外歩行は転倒リスクが高かったため、介助者の見守りが必要でした。
Yさまの目標をお聞きすると、
「みんなと同じように働きたい」
「ジョギングが出来るようになりたい」とお話されました。
初回体験利用時、HAL®︎専用モニターに映し出されるご自身の生体電位信号の数値と波形を見て「これは分かりやすくて良い。納得して運動が出来る。」とYさまに仰って頂き、大変嬉しかったです。
その日のカウンセリングにて本人さま、家族さまとお話しをさせていただき、神戸ロボケアセンターでNeuro HALFIT®︎プログラムを開始することとなりました。
Neuro HALFIT®︎プログラム開始
開始当初の歩き方は、歩き続けると体の傾きが強くなってしまい、転倒リスクの高い状態にありました。Yさまとご相談の上、まずはしっかりと歩けるようになることを目的にプログラムを開始致しました。
プログラムの内容は、毎回トレーニング当日にYさまの全身の状態を確認し、その日その時に、目標に対して最も適切で効果的と考えられるオーダーメイドプログラムを組成し実施させて頂きました。
活用した機器としては、
- 両足部の筋緊張調整を目的とした(単関節HALの足アタッチメント)、
- 骨盤〜脊柱からなる体幹機能の機能改善を目的とした(HAL®︎腰タイプとC-toバランストレーニングシート)
- 下肢への正確な荷重の意識づけ、感覚入力を目的とした(HAL®︎自立支援用下肢タイプ)を実施致しました。
その後の経過
専用モニターに表示されているように、各筋の適切なタイミングでの弛緩、収縮ができるようになり、身体の柔軟性改善とともに、全体のパフォーマンスが向上している様子が見られました。
歩行
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初回 | 歩き続けると体の傾きが強くなってしまい、転倒リスクの高い状態であったため、ひとりでのお出かけが出来なかった。 |
現在 | 転倒リスクはなくなり、連続10km屋外歩行が出来るようになったことで、ひとりでのお出かけが可能となりました。 |
全身の状態が改善したことと、歩行能力の向上が達成できたことから、次に、Yさまの「みんなと同じように働きたい」という目標に向けてNeuro HALFIT®︎のプログラムを変更しながら継続することにシフトして、動き始めました。
目標に対して、Yさまの職場での状況や課題をヒアリングさせて頂いたところ、お仕事がデスクワーク中心のため、「長時間の座位保持は腰痛を感じ、疲れる」ということが課題に挙げられました。
そこで、休憩時間でもできるリラクゼーション方法、お仕事の合間にできる簡単な運動などをお伝えするとともに、ロボケアセンターでは、CYBERDYNE社のC―to、HAL®︎腰タイプを使用し、Yさまの腰部の生体電位信号に基づいたトレーニングを実施した結果、骨盤の動きが出てくることで左右の殿筋と脊柱筋も鍛えられ、座位姿勢の改善がみられました。
仕事
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初回 | 身体の柔軟性と筋力低下、腰痛があるため、
週3日、1日6時間の短時間勤務 勤務内容はデスクワークのみでした。 |
現在 | 身体の柔軟性改善と筋力向上とともに腰痛軽減がみられ、
週5日、1日8時間のフルタイム勤務 勤務内容はデスクワークのみならず現場業務を実施されている。 |
歩き方、働き方の改善とともに、ハイキングに行きたいと新たな希望が出てこられたので、ハイキングに必要な段差昇降動作にも取り組みました。
段差動作時に必要な大殿筋、脊柱起立筋が、適切なタイミングで収縮できるようになりました。
段差昇降 |
初回 | バランスが悪く手摺りが必要でした。
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現在 | バランスが良くなり、手摺りがなくても登れるようになりました。
低山であればハイキング可能となりました。
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今後の展望
ご自宅から神戸ロボケアセンターまで片道約1時間30分の送迎運転など、ご家族様の日々のご協力はもちろんのことですが、勤務先の皆様も、お昼の休憩中に身体を伸ばせるスペースの確保や、デスクワーク中でもこまめに身体を動かすスペースの確保など、職場の環境改善のご協力も頂けたことは素晴らしいことでした。ご協力頂いた方々には深く感謝申し上げます。
毎回のトレーニング終了時には、その日の様子や状態から、ご自宅でできる生体電位信号に基づいた自主トレーニングを、スタッフよりお伝えさせて頂きました。奥様からは「毎日真面目に取り組んでいた。」とうれしいご報告を頂いております。ここまでリハビリの効果が出たのは、ひとえにYさまと奥様が毎日頑張ってこられたからだと思います。
事故当初は、一生車椅子での生活になってしまうことをYさま、ご家族様共に覚悟されていたとお話しされていましたが、職場復帰を果たした後も、2022年5月に定年退職されましたが、同じ会社・職場で嘱託職員として再雇用となり、現在も元気に毎日勤務されております。
現在も少しずつではありますが、日々動作能力の改善が見られており、事故されてから1度もできなかったジャンプ動作ができた時は、スタッフ一同歓声を上げて、感動を共有することが叶いました。
Yさまは元々スポーツマンで、事故直前にはトライアスロンレースの計画をされていたそうです。そんなYさまは、つい最近のことですが電動自転車で連続22kmの走行ができたようです。
今後は次の目標である「ジョギングが出来るようになる」ことを目指して、時に厳しく楽しく、神戸ロボケアセンターのスタッフと共に一丸となってリハビリ支援を続けさせて頂きます。
神戸ロボケアセンターでは、一人一人がお持ちの目標や夢に向かい、スタッフ一丸となり寄り添いながらNeuro HALFIT®︎を提供しております。
ぜひ一度、神戸ロボケアセンターにお問い合わせください。