鈴鹿ロボケアセンターの日常
鈴鹿医療科学大学の白子キャンパス内に開設して今年で丸9年が経過した“鈴鹿ロボケアセンター”。
2021年4月に同大学の千代崎キャンパスに移転後も、HAL®︎を使った専門プログラムの提供(Neuro HALFIT®️)だけでなく、HAL®︎の導入施設やスポーツチームへのフォローアップ、展示会の参加や研修会など、様々な形でHAL®︎を知っていただくための活動を行なっております。
今回のブログでは、「鈴鹿ロボケアセンターはどんなことをしているのか」を紹介させていただこうと思います。
< Neuro HALFIT®️>
鈴鹿ロボケアセンターのメイン業務は、利用される方に対してHAL®︎を使った専門プログラムを提供するNeuro HALFIT®️です。
当センターは、鈴鹿市内はもとより遠方から来てくださる方も多く、さまざまな症状の方により良くなっていただくためのプログラムを提供しております。
◇Neuro HALFITプログラム実施の一例◇
脳出血により右片麻痺を呈したA様は、車椅子で来所し、4点杖と短下肢装具を使って自力で移乗します。HAL®︎装着前に、プラットホーム上でストレッチや電極の貼付を行います。
A様の場合、自力で右上肢を動かすことが難しいため、Path leaderという磁気刺激装置を使って筋収縮を促すことも、装着前準備の一つとして行なっております。
A様のプログラムは、まずHAL®︎腰タイプを使って体幹の前後屈運動、体幹回旋運動、起立訓練を行います。
日中は車椅子で生活し活動量が少ないため、易疲労性と座位保持や立位姿勢の不安定さがあります。 HAL®︎は装着者から発せられる生体電位信号を読み取り、信号に応じてモーターが運動をサポートしてくれるため、普段より簡単に無理せず身体を動かすことができます。
HAL®︎を外した後は「身体の楽な動かし方」が体感として残るため、力みすぎない姿勢保持や身のこなしができるようになります。また体幹を動かすので胸郭の柔軟性や心肺機能の改善が見込めるので、生活上の動作も円滑に行えるようになっていきます。
HAL®︎腰タイプを使った体幹運動の後はHAL®︎下肢タイプを使った歩行練習を行います。
A様の場合、一定速度でリズミカルに足を振り出すことを目的とした歩行練習を行いたいため、吊り下げ式トレッドミル(HALTREAD)を使って行います。
普段、積極的に歩かないというA様も、少し免荷しHAL®︎のサポートを得れば自分の意思のまま楽に歩けるため、休憩を挟みながらではありますが合計40分歩かれます。
自重を支えながら歩くことは、健常な方には簡単なことですが、障がいのある方にとっては実はとても負担がかかるため、ここに来て行う歩行練習はA様にとって毎回が新鮮なことなのかもしれません。
このようにNeuro HALFIT®️では利用者様の身体機能評価のもと、様々なプログラムを提供しております。今回紹介したタイプ機体以外にも、HAL®︎単関節タイプを使用して肘や足首の単関節運動を行ったり、足漕ぎ車椅子「COGY」やモーションキャプチャーで体を動かすゲームができる「TANO」といったHAL以外のアイテムも併用しながら、少しでも良くなっていただけるよう個別のプログラムを提供しております。
<営業活動>
鈴鹿ロボケアセンターでは、様々な営業活動も行っています。
少しでも多くの方にHAL®︎を知っていただき、鈴鹿ロボケアセンターに来て良くなっていただきたいので、鈴鹿ロボケアセンター[Neuro HALFIT]の周知活動は当然必要なのですが、当センターはCYBERDYNE社製品を病院や介護施設などにレンタルを行う取扱店としての活動も行なっております。
主な活動内容は、イベントや展示会に参加してHAL®︎の紹介をしたり、当センターの見学会やHAL®︎体験会、講演会を実施し、障がいの有無に関わらずより多くの方にHAL®︎や当センターについて知ってもらうための活動を行なっております。またSNS等での情報発信なども行なっております。
他にも、HAL®︎導入施設での運用サポートや、普及活動として導入に至っていない病院や介護施設等を訪問し現場で働く医療従事者の方に実際に体験していただくことも行なっております。
<人材育成>
鈴鹿市に協業いただいている事業として、当施設が所在する「鈴鹿医療科学大学の学生にHAL®︎の取扱の講習を行い、HAL®︎が扱えるセラピストを育成する」という業務があります。
HAL®︎の取扱には事前に講習を受ける必要があるのですが、同大学では講義の中にHAL®︎についての講習を受けられる学科があり、実際に組立・装着・操作を学生のうちに学ぶことができます。受講修了時に HAL®︎の取扱資格を得られるので、就職先がHAL®︎を導入している施設や病院であれば「HAL®︎が扱える新人」として業務にあたることができます。
◇ある学科での講習の流れ◇
この学科では2週にわたり講習を実施しますが、1週目はHAL®︎の動作原理や操作方法、安全面などの座学、2週目に患者役の学生への電極の貼付、 HAL®︎の装着、コントローラーの操作など一連の運用を学生に体験してもらうことと理解度テストを行います。
鈴鹿ロボケアセンターにある機体を使い、講師の説明に沿ってグループで進めてもらいます。
座学の時には真剣に聞いていてくれる学生さんも、実技となるとグループごとにワイワイ楽しく実技研修を行います。
一通りの実技が修了した後は理解度チェックテストを行います。
これは受講された学生さんが、どの程度内容を理解していただけたかを測るペーパーテストです。
さすがこれまで様々なペーパーテストをくぐり抜けてきた学生さん達は、テストとなると一様に真剣な面持ちになります。
ここまでの講習をこなした学生さんには、CYBERDYNE社よりHALの取扱資格が付与されます。
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今回は鈴鹿ロボケアセンターで行われている業務の紹介記事でした。
実際には他にも色々あるのですが、長くなってしまいますので今回はここまでにします。
鈴鹿ロボケアセンターでは、自治体や企業様の団体見学、中学や高校、専門学校等でのHAL®︎を使って授業なども行なっています。
医療従事者だけでなく、一般の方にもHAL®︎を知っていただき「こんな技術が身近にあるんだな」と感じてもらうことや、親族や知り合いに身体の不自由を感じてしまっている方に「こういうのがあるんだって!」と話題にしていただければ良いなと思います。
またHAL®︎には「歩く」以外にも色々なタイプがありますので、「自分には合っていないかも」と心配することなく、まずは気軽にお問い合わせいただき、体験していただければと思います。
いつでもお待ちしております!